先日、通勤電車に乗っていたときのことを話します。
ガタンゴトンと揺れる満員電車の中で、
にこにこくんは、吊り革につかまって、
本を読んでいました。
次の駅に着いて、
ドアが開き、
お客さんたちがいっぱい乗ってきました。
私の前の席が空きました。
座ろうかな、と思ったら、
「ポン!」と音がして、
座ろうとした席に小さなカバンが!
カバンはドアのほうから飛んで来ました。
飛んで来たほうを見ると、
勝利者のように不敵な笑いを浮かべる若者さんがいます。
私は若者さんのために、横にずれてあげました。
すると、その前の席で居眠りをしていたオッサンが、
目覚めて急に外に飛び出しました。
私は空いた席にゆっくり座り、若者さんのほうを見ました。
若者さんは、私の視線には気づかず、
前を見て、自慢げに微笑んでいました。
笑顔の視線の先、すなわち、若者の前に、
疲れが顔に出ているおばあさんがいました。
私は、おばあさんに笑顔で、席を譲りました。
おばあさんは喜んでくれました。
若者さんを見ると、目を強くつぶっています。
私は再び、吊り革につかまって、本を読み始めました。
次の駅に近づきました。
私は本に夢中になっていました。
すると、先程のおばあさんが私に、「後ろ、空きましたよ」と、教えてくれました。
私は振り返り、後ろの席に座りました。
おばあさんと目を合わせ、互いに会釈しました。
ガタンゴト~ン!
なんだかわからないけど、
私は、自分がにこにこくんでよかった、
と思いました(*^▽^*)/
(おしまい)