にこにこくんの、のんびり日記

おもに演劇や映画の観劇レポや、作った料理などを掲載します。

2018年03月

日曜日、上野公園で花見をしました。

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ゴザを敷いて酒を飲んだわけではありません。通り抜けただけです。

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大勢の花見客が桜を愛でていました。

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桜の生命力がみなぎっています。

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息を飲む美しさです。

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何か語りかけているような気がします。

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桜にも、たたずまいがあります。

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桜も踊ります。群舞です。

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こんなにも多くの、桜の花びらを、数えた人はいるのでしょうか。

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お元気で。

じゃーねー!(*^▽^*)/

私がイラストを3点出品している「横浜開港アンデパンダン展」が、昨日から始まりました。


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会場の前のプランターで咲いていた花たちです。かわいかったです。

展示会場は横浜市民ギャラリーの地下1階から3階までと、隣接する伊勢山皇大神宮です。初日から多くの人が観に来てくれました。私の絵の前もサラリと観て通り過ぎる人もいれば、じっくり観てくれる人もいます。自分の作品をそんなに多くの人が真剣に観てくれるなんて、とてもうれしかったです。

私の友だちも観に来てくれました。展示時間が終わってから、彼らと近くの野毛で飲みました。いわゆる「野毛飲み」です。

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絵の説明も交えて楽しい話に花が咲いたあと、店を出て駅に向かう途中、橋の下の川を屋形船が通り過ぎていました。

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屋形船で宴会なんて、楽しそうです。

会期は4月2日までです。

じゃーねー!(*^▽^*)/

(板橋演劇センター公演「ヴェニスの商人」の続きです)

「ヴェニスの商人」といえば、1985年に経済学者の岩井克人さんが著した処女エッセイ「ヴェニスの商人の資本論」(筑摩書房)があります。岩井さんのファンで彼の著書が出るのを心待ちにしていた私は、このエレガントな経済エッセイに心奪われたものです。

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「ヴェニスの商人」にはヴェニスの商人だけではない、ユダヤ人という外部の存在、ポーシャやジェシカのような外部の女性などが登場する多元的で動態的な構造を持っていること、中心となる人肉裁判に至るアントーニオとシャイロックの抗争だけでなく、富豪の娘でその財産の相続人であるポーシャのゲーム的要素のある婿選びの話、ユダヤ人の娘ジェシカとキリスト教徒ロレンゾーの駆け落ちの話、ラストの指輪をめぐる茶番劇という、この物語の4つの要素が、いずれも内部と外部の関係性にまつわるものであること、など、鋭い分析がどんどん出てきます。

さらに、アントーニオはヴェニスの者たちと共同体という連帯意識を持っており、それゆえ人に金を貸すのに利息など取らないこと、ところがこれと、貿易商として遠隔地のものをヴェニスに持ち帰って高い値段で売って利潤を上げることは矛盾しており、このまま経済活動を続けていれば、大切な自分たちの共同体が失われてしまう、それを彼は予感して悩んでいるのだ、それが劇の冒頭のアントーニオの憂鬱の原因なのだと指摘します。

そのうえで、貨幣とは何か、利子とは何かなど経済の根源的な問いについて、岩井流の経済学を、アリストテレスまで持ち出しながら展開していきます。さらに、この舞台にひそむさまざまな意味を、経済学や文化人類学の手法を用いながら明らかにしていくのです。それは例えば、経済において「外部」「異物」「差異」が必要であり、この物語当時においてユダヤ人がそれであったこと、人肉裁判において実はどちらも勝者ではなく、この判決がもたらしたものは「交換」であり、それは両者にとって大きな悲劇の幕開けであったこと、貨幣とは「トリックスター」であったこと、人肉裁判が終わり、一見口直しのような喜劇的茶番劇も終わったあと、ヴェニスにあった連帯意識でつながる共同体は終わりを告げ、個人化が進み、資本主義が始まるであろうこと、資本主義とは絶えざる自己増殖であり、誰もそこから逃れることはできないこと、等々。

板橋演劇センターによる公演「ヴェニスの商人」を観たことがきっかけで、33年ぶりにこの本を読み直し、改めて本書の先見性に舌を巻きました。充実した内容で、とてもおもしろかったです。現在はちくま学芸文庫から文庫本にもなっています。演劇に関わっている人、あるいは演劇ファンの人は、機会があったらぜひ手にとってほしい一冊です。

じゃーねー!(*^▽^*)/

板橋演劇センター公演No.102 EIZO ENDOシェイクスピア・プロデュース82(作品No.10-5)「ヴェニスの商人」を観ました。

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言わずと知れた、ウィリアム・シェイクスピアの書いた喜劇です。シェイクスピアにおける喜劇とは最後に主人公や善良なカップルたちが幸せを迎える劇のことで、「ヴェニスの商人」や「夏の夜の夢」などがそれに当たります。逆に悲劇とは主人公が非業の死を遂げたりする劇のことで「マクベス」や「リア王」などがそれに当たります。「ヴェニスの商人」とは、金貸しのユダヤ人シャイロックのことではなく、シャイロックが金を貸すアントーニオのことを指し、ゆえに主人公はアントーニオとその仲間たちです。彼らが最後に幸福になるから喜劇なのです。

今回の板橋演劇センター公演「ヴェニスの商人」は、このお話が喜劇であることを強調した舞台になっています。客入れの段階から、古典的なシェイクスピアの劇には場違いとも思える、バブル時代のころの松任谷由実(ユーミン)の「真夏の夜の夢」などの曲が数曲、リピートで流れています。「なぜシェイクスピア劇の客入れでこの曲?」と、戸惑いましたが、恋愛トレンディドラマのテーマ曲に起用された曲だったこと、「真夏の夜の夢」といえば、同じシェイクスピア喜劇「夏の夜の夢」を連想させること、などを考えると、意外とマッチしていたのかもしれません。絶妙な古臭さが「古典劇を観に来た」と身構える観客の肩の力をうまく抜いてくれます。

幕が開きました。大まかなあらすじは皆さんもご存知でしょう。貿易で栄えるヴェニスで貿易商を営むアントーニオは、求婚のために先立つものが必要な友人バッサーニオのためにお金を用立ててあげようとしますが、たまたま航海中の商船が戻ってくるまでは貸してあげられない状態でした。そこでアントーニオはユダヤ人の金貸しシャイロックに借金を依頼します。しかし、日頃からアントーニオらキリスト教徒に「金を貸すのに利息をつけるなんて」など屈辱的な非難を受けていたシャイロックは、「指定日までに金を返さなければ、シャイロックが欲しい部分の自分の肉1ポンドを与える」という証文をアントーニオに書かせます。ところが帰ってくるはずの商船が嵐で戻って来ません。アントーニオはシャイロックに自分の肉1ポンドを与えなければならないのか、それを争ういわゆる「人肉裁判」が始まりました。シャイロックはアントーニオの胸の肉を所望します。果たしてアントーニオの運命は……。

この後アントーニオがどうなるのかは、多くの方はご存知だと思います。むしろ、このおぞましい裁判とトリッキーな解決の部分にインパクトがあるため、バッサーニオやシャイロックの娘ジェシカなどの恋愛物語の部分が、一般には知られていないのではないでしょうか。シャイロックが主人公だと思っている人も多いと思います。私も昔、戯曲を読んで初めてこれが喜劇だと知ったくらいです。板橋演劇センターによる本公演は、言われなき差別に憎悪の念をかき立てるシャイロックの姿をしっかり描きつつも、恋愛模様や登場人物のおもしろさも魅力的に描いており、折りたたみ式の舞台装置で場面転換をすることでテンポも良く、2時間以上の劇があっという間に感じるくらい楽しい芝居になっていました。

劇が終わったあと客席を見渡すと、観客の多くがにこにこと微笑んでいました。この公演の狙い通りではないでしょうか。もちろん、私もにこにこしていました。いい芝居でした。

じゃーねー!(*^▽^*)/

(岩井克人「ヴェニスの商人の資本論」に続きます)

埼玉県志木市のコミュニティFM&ネットTV放送局
「クローバーメディア」のラジオ番組
「大空なんだの四方山話」で、私の投稿した詩が読まれました。
月末の日曜日の放送は
リスナーの「文芸投稿」を紹介する回になっています。
今回の3月25日のテーマは「若草」でした。

「若草物語」

僕の胸にいつの間にか刻まれた深い切り傷
赤い血のしたたる傷口から
緑の若草が生えてきた
今日からこの若草は
僕の友達だ

胸の奥までくい込んだ根っこから
ぐいぐい血を吸い上げ
彼はすくすく伸びていく
若草の気持ちがわかるようになった僕は
手足のない植物にとって
生きるとは
川の流れに身をまかせた
小舟のようなものだと知る
僕の気持ちがわかるようになった若草は
平凡なままでいいと言ったかと思えば
無茶な野望を抱いてしまう僕のブレを
風のようだと例えてくれた

風はどんなに気ままにさすらっていても
地球の外までは飛び出せない
海や土の中まではもぐれない
自由のようでありながら
地上の温度を全体に配分し
穏やかに保つという
自分に与えられた役割を果たしているのだ

「それでいいじゃないか」と若草は言った
「それでいいのか」と僕はうなづく
「君もそれでいいよ」と若草に応える
「それもそうだね」と彼もうなづく

僕と若草は大切な友達
彼は僕の傷口をふさいではくれない
だけど僕らは生きている
赤い血潮の波に乗って
二人の旅は続く


以上です。
詩を読んだ後、MCの須藤和代(ちゃい)さんが、コメントの代わりに自作の詩を書いて読んでくれました。素敵な詩ですので、ぜひお聴きください。

電波の届く範囲だけでなく、
ポッドキャスト等で、ネットを通じて
全国、全世界どこからでも
いつでも無料で聴くことができます。
もちろん、皆さんも聴くことができます。
難しい手続き・操作は必要ありません。


じゃーねー!(*^▽^*)/

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