にこにこくんの、のんびり日記

おもに演劇や映画の観劇レポや、作った料理などを掲載します。

2019年09月

演劇企画「Rising Tiptoe」。27回公演は「咲く」(作・演出・デザイン:宇吹萌、音楽:竹内一樹。2019/9/3〜9/8、於:下北沢ザ・スズナリ)でした。

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男女二人が暮らしている家。その庭には藤や薔薇、百合などの花々や、今は芽も生えず土の中にいる球根、 奇妙な置物やプラスチックのアヒルなどがいて、アゲハ蝶や蜂、インコやスズメなども集う、賑やかな庭です。しかし、その家と庭は独身寮に建て替えるために男女は立ち退かなければならなくなりました。庭の住人たちを愛し、彼らの行く先を探そうと必死になる女と、冷ややかな対応の男。果たして庭の住人たちは皆、無事に移り住むことができるのでしょうか。

ブラックユーモアを効かせたシュールな会話で紡がれるファンタジーが魅力のRising Tiptoeらしく、今回も毒舌混じりの会話が続くのですが、いつもよりも温かみを感じます。庭の住人たちが愛に満ちていて、人間への愛、仲間たちへの愛、運命への前向きな受け入れ、それらが愛おしく、観ていて優しい気持ちになれます。それゆえ、ブラックユーモアに満ちたジョークがおかしく、いつも以上に観客が笑いに包まれていたように思います。チャーミングな作品でした。

宇吹萌(うすいめい)さんの唯一無二の戯曲の世界、ぜひ多くの人に味わっていただきたいです。当日券もあるそうです。ぜひ!

明日8日(日)まで上演中の、ぷろじぇくと☆ぷらねっと公演「月読の扉」(作:日疋士郎。於:新宿スターフィールド)。初日に続いて、昨日も観てきました。

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この芝居のメインテーマは「死と性」。死なないことが可能になった人類の中で起こるジェンダーの問題などが描かれています。

 LGBTの人たちは、「性別違和」という苦しみを抱えています。「自分の心は男なのに、体は女である」といった違和です。では、違和は解消されるべきものなのでしょうか。医学的に自分の心と同じ性を獲得できるようになったら、心と体が一致したら、それで解決なのでしょうか。もしそれが可能なら、それが一番望ましいことなのでしょうか。

この「月読の扉」でも描かれていますが、「違和」は LGBTの人たちだけの問題ではなく、多くの人たちが抱えている問題です。この親から生まれてきたことに対して違和を覚える人もいれば、差別される一族に生まれたことで悩む人もいる。「こう生きなければいけない」という選択、押し付けられる「〜〜らしさ」、「〜〜らしく演じなければいけない」ということに苦しむ人は大勢います。

多くの人は、そういう違和を抱えて生きている。だから性別違和を抱える人も、医学的、あるいは制度的に生きやすくなることを望むより、問題を抱えながら生き続けることを受け入れるべきでは。性別違和を抱えていない外部の人は、そういう気持ちを抱くかもしれません。

しかし、性別違和の問題は、望まない役割を演じなければならないということです。心が男なのに、男の人に対して女を演じなければならないというのは、耐えがたいことです。それを受け入れよというのは、あまりに想像力に欠けます。

つまり、この性の問題も、「〜〜らしく演じなければならない」という問題も、これは「演劇的問題」ではないか。そう思えました。人間という生き物の根源的な問題は、演劇的問題なのではないか。

詩人でもある、マルチな才能を持つ日疋士郎さんが、苦しみながら演劇活動を続けることにこだわっているのは、自身の抱える性別違和の問題が演劇的問題だからだと、意識的なのか「内知」なのかはわかりませんが、気づいているからなのかもしれません。

ハイクオリティな美しさに満ち溢れる舞台「月読の扉」は、明日日曜日まで上演中です。当日券もあります。「死と性」という普遍的な問題に真正面から向き合った戯曲を美しく誠実に演出した本作。オススメです。ぜひ、ご覧ください!

https://www.facebook.com/events/563551154467257/?event_time_id=563551184467254 

私の書いた原稿が、日本食糧新聞社の食のサイト「たべぷろ」に掲載されました。昨年4月から始まった連載の32回目です。

https://tabepro.jp/68718

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肉などをプラスしただけで、「ぜいたくなごちそう」主菜に早変わりです(笑)

 
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 埼玉県志木市のコミュニティFM&ネットTV放送局「クローバーメディア」のラジオ番組「大空なんだの四方山話」で、私の投稿したエッセイが読まれました。投稿を始めてから63回目の採用です。月末の日曜日の放送はリスナーの「文芸投稿」を紹介する回になっています。今回の8月25日(日)の四方山話のテーマは「同窓会」でした。



エッセイ「思い出のアルバム」

 大学時代、同じクラブの同期生を中心に、年に二、三回集まる同窓会。同じ演劇研究部に所属していたメンバーが多いため、会では芝居の話で盛り上がる。文系の学部に所属していたせいか、出版社に勤めていた者も多く、私と同じく編集者だった者もいる。演劇のことや本のことなど、共通の話題が多くなるのはやむを得ないことだが、その話題に入ってくることができない人のために、別の話題も仕込んでおくのも、気遣いの人、にこにこくんらしいではないか。しかし、その話題がスベってしまったとき、広がる暗黒の世界から救い出してくれる、話術巧みな仲間たちがいるのもありがたいことだ。


 今年の同窓会は1月と7月に開催した。1月に行われた同窓会では、昨年9月に私が自費出版で出した演劇誌「小劇場」1号を持っていった。日疋士郎さんの主宰する演劇プロデュース「ぷろじぇくと☆ぷらねっと」の特集号で、9月に上演された日疋さん作・演出の公演「プロミスト・ランド」でも販売された。そのため、その公演を観に来てくれた同窓生はすでに買ってくれていたのだが、それ以外の同窓生もこの同窓会で買ってくれた。「ぷろじぇくと☆ぷらねっと」のことを知らない人も多かったので、申し訳なくもありがたかった。しかし、この本は「ぷろじぇくと☆ぷらねっと」のことを知らなくても、おもしろく読める本だと自負している。とくに日疋さんのロングインタビューのページが充実しているのだ。


 7月は新宿花園神社で行われた椿組のテント小屋芝居を同窓生たちと観て、そのまま近くの居酒屋で同窓会を楽しんだ。芝居の興奮が冷めやらぬまま、演劇の話で盛り上がった。


 学生時代の仲間とのつながり、これからも、いつまでも切らさずにいたい。自分にとって、仲間一人ひとりが、思い出のアルバムなのだ。振り返る思い出は、前に進むためにも欠かせない積み重ね。それがなければ前に進むのが虚しくなってしまう。


 振り返って、進もう。



以上です。35分ごろから読まれます。

こちらのURLからファイルをダウンロードしてお聴きください。


https://yahoo.jp/box/k73bjz


MCのなんださん、ちゃいさん、ありがとうございます♪

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